矯正歯科コラム

COLUMN

過蓋咬合の治療について

矯正歯科
過蓋咬合の治療について

過蓋咬合(かがいこうごう)とは、下の歯が上の歯によってほとんど覆い隠されてしまう、噛み合わせが深い歯並びのことで、ディープバイトとも呼びます。他の不正咬合と異なり、歯並びが整っているように見えることもありますが、過蓋咬合はさまざまな口腔トラブルを引き起こす可能性があります。今回は、過蓋咬合のおもな原因や症状、治療方法についてご紹介します。

◎過蓋咬合のおもな原因
過蓋咬合の原因は複数あります。まず挙げられるのは、「上顎が成長しすぎている」、「下顎が小さい」、「上顎が前に出ている」など、生まれ持った骨格によって過蓋咬合となっているケースです。骨格は遺伝によって、親から子へ受け継がれることがあります。また、強い力を受けて歯が倒れ込んでしまったり、すり減ったりしてしまうことでも過蓋咬合が起こります。「噛む力が強すぎる」、「食いしばる癖」があるなど、後天的な要素が原因となります。

◎過蓋咬合が引き起こす症状・トラブル
過蓋咬合の状態では、下の前歯が上顎の歯ぐきに噛み込んでしまう可能性があります。すると、歯にかかる力が大きくなり、上の前歯が揺らされて「歯肉が痩せる」、「被せ物が取れやすくなる」、「傷ができて痛みが出る」「歯の表面が割れる」など、さまざまな悪影響が生じます。また、特に力のかかりやすい奥歯を噛み締めたり、食いしばったりする癖がついてしまうこともあります。歯のすり減りが進むと、知覚過敏になる、歯の神経が露出するなど重大なトラブルに繋がる恐れがあります。

さらに、顎に負担がかかって顎関節症になりやすいのも過蓋咬合の特徴です。顎関節症が首や肩のコリを引き起こすこともあるため、全身の不調の原因にもなり得るでしょう。見た目の面では、笑った時に歯ぐきが目立つ「ガミースマイル」に悩む方もいます。

◎過蓋咬合の治療方法
過蓋咬合の治療は、下あごの成長期が始まる前からマウスピースを使用し、さらにワイヤーを使ったマルチブラケット装置によるものが主流です。一般的な表側の矯正のほか、舌側の歯にブラケットを装着する裏側矯正でも治療できる場合があります。治療では、例えば上の前歯を歯ぐきに押し込むような移動「圧下」が必要となります。この移動は他の歯列矯正に比べ時間がかかり、さらに歯根に負担がかかってしまい、歯根吸収を起こしやすいです。そのためにアンカースクリューと呼ばれるチタン製の小さなネジを用いて治療を行なうこともあります。

アンカースクリューを歯ぐきに埋め込み、そこを固定源とすることで、効率的な歯の移動が実現します。永久歯への生え変わりが終了した大人の方の場合、過蓋咬合の治療期間は過蓋咬合の程度やその他の歯列の異常、抜歯の有無などによって期間は変動します。気になる方はまずふかや矯正歯科にご相談ください。

記事監修 深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

■略歴

  • 1988年3月 栃木県立真岡高等学校卒業
  • 1994年3月 北海道大学歯学部卒業
  • 1994年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科入局
  • 1998年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科医員
  • 1999年4月 赤坂まつの矯正歯科非常勤勤務
  • 2001年4月 ふかや矯正歯科開院
  • 2003年4月 船橋市立行田東小学校学校歯科医

■所属学会

最新記事

カテゴリー

月別アーカイブ