矯正歯科コラム

COLUMN

iTero(アイテロ)のデメリット

矯正歯科
iTero(アイテロ)のデメリット

インビザラインなどマウスピース矯正の際に使用する口腔内3Dスキャナー「iTero(アイテロ)」は、口腔内をデジタルスキャンして、嚙み合わせや歯並びの情報を正確に取得します。従来の歯型の型取りよりもスピーディーに、不快感なく、より高い精度で治療を受けられるメリットがある一方で、デメリットもいくつか存在します。

アイテロのデメリットとは?

先進の歯科医療機器であるアイテロには、どのようなデメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

導入している医院が少ない

アイテロの数少ないデメリットとして挙げられることが「導入している医院が少ない」という点です。アイテロは、歯科先進国であるアメリカやヨーロッパを中心に、各国の歯科医院で導入されています。しかし高価な精密機械であり、日本国内でアイテロを採用している医院はあまり多くありません。アメリカとヨーロッパの歯科医院ではアイテロの導入率がおよそ50%であるのに対し、日本国内ではまだまだ導入数は少ないと言われています。(2024年1月現在)

マウスピース矯正やインビザラインを提供している医院でも、必ずしもアイテロが導入されているという訳ではありません。そのため、歯科医院の公式サイトを確認したり、直接医院へ問い合わせるなど、アイテロの設備があるかどうかを事前に確認することをおすすめします。

型取り中に口腔内が乾く

アイテロは、3Dスキャナーの光を歯列に沿ってなぞるように照射し歯の情報を取得します。その際、スキャナーから発する曇り防止のエアーにより、口腔内が乾いてしまうというデメリットが生じます。口の中が乾燥しやすい、口を大きく開けにくいという方にとっては、少し不快に感じてしまう可能性があります。とはいえ、アイテロによるスキャンは1分程度で完了します。従来の型取りのようにシリコン材が固まるまで数分~数十分かかる、口の中の異物感で苦しいなど、不快な思いをすることはありません。

叢生咬合はスキャンが難しい

叢生咬合とは、歯が密集して生えている状態を指します。この状態では、アイテロで歯の間や裏側のスキャンが難しくなります。また、スキャンの工程が長引くことによる不快感は治療体験を損ないかねません。結果として、スキャンの精度が低下し、今後の治療方針に影響を及ぼす可能性があります。さらに、叢生咬合ではスキャンデータの解析や解釈が難しくなることもあり、歯科医師による治療計画もより慎重に行なう必要があります。

開口筋に当たって痛い

開口筋とは、口を開ける筋肉を指します。これが発達していると、口腔内の一部がもり上がっているため、アイテロのスキャン中にスキャナーが歯や口腔内の他の部分に触れ、不快感や痛みを引き起こすことがあります。

メリットとデメリットを考慮しよう

このように、アイテロにもデメリットはありますが、これはデジタル化された歯科治療の現状であり、自分自身の嚙み合わせの状態を把握することが何よりも重要です。

また、アイテロのメリットには以下のものが挙げられます。

・治療時間がスピーディーかつ快適に行える

・スキャナーで数分間歯をなぞるだけで歯型を採取できる

・矯正用マウスピースの製作期間を1~2週間短縮できる

・歯型のデータがクラウド上に保存されマウスピースが破損しても速やかに作り直せる

以上のように、アイテロにはメリットも多いため、今回ご紹介したデメリットを考慮したうえで治療の検討にお役立てください。

記事監修 深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

■略歴

  • 1988年3月 栃木県立真岡高等学校卒業
  • 1994年3月 北海道大学歯学部卒業
  • 1994年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科入局
  • 1998年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科医員
  • 1999年4月 赤坂まつの矯正歯科非常勤勤務
  • 2001年4月 ふかや矯正歯科開院
  • 2003年4月 船橋市立行田東小学校学校歯科医

■所属学会

最新記事

カテゴリー

月別アーカイブ