矯正歯科コラム

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デジタル矯正ではロボットがワイヤーを作る?

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デジタル矯正ではロボットがワイヤーを作る?

ワイヤーを使用した矯正治療は、ワイヤーの引っ張る力を利用して歯を少しずつ動かしていきます。今回は、歯を正しい位置に動かす役目を担うワイヤーの重要性と、デジタル矯正治療における最新技術を用いたワイヤーの作成方法についてご紹介します。

歯科矯正治療で装着するワイヤーの重要性

歯の矯正治療で最も一般的なワイヤー矯正は、歯に固定したブラケットにワイヤーを通し、ワイヤーのしなる力を利用して歯を正しい位置に動かしていきます。歯の動きに連動し、歯を支える歯茎や骨などの歯周組織が再形成されます。その結果、歯に負担をかけないよう少しずつ歯を動かすことができるのです。

歯に急激な力を加えてしまうと、最悪の場合、歯が抜けてしまうこともあります。そのため、ほどよい力加減で歯を動かすよう、歯科医師による定期的なワイヤーの調整は欠かせません。このようにワイヤーは、歯を移動させて歯並びを整えるのに重要な役割を担っています。矯正治療においてワイヤーは治療効果を大きく左右するうえ、ワイヤーの形状は治療期間中の患者様の快適度にも影響するため、精度の高さが重要です。

デジタル矯正では最新のロボットでワイヤーを作成

従来の矯正治療では、レントゲンや噛み合わせなどのデータをもとに治療計画を立て、使用するワイヤーも医師が手作業で作成します。そのため、医師の技術や経験値によっては、ワイヤーの精度にばらつきが出てしまうのが課題でした。

これに対して3Dデジタル矯正では、歯型の採取や口腔内のレントゲンといった矯正に必要なデータをデジタル機器により収集します。それらのデータを統合し、コンピューター上に口腔内の3D立体画像を再現することで、治療のアシストをすることができます。

近年のデジタル矯正はAIの活用で、より効率的で精密な治療が可能になってきています。例えば、患者様の口腔内スキャンデータから、現在の歯の位置、噛み合わせのパターン、顎の形状などを分析し、それらのデータをもとに治療方針を決定します。他にも、治療の進行状況をシミュレーションし、治療方針の調整、精度の向上、期間の短縮などが行なえます。

さらにAIは、治療中の患者様の口腔内スキャンデータと、匿名化された膨大な治療データとを比較することで、個人ごとに最適な治療法を提案することができます。それぞれの口腔状態や矯正の目的によって、最適な治療法は異なるため、非常に有用です。

デジタル矯正では、取り付けるブラケットの位置も3Dモデルの立体画像上で正確に指定されます。また、ワイヤーも治療計画にもとづいてコンピューター上で設計し、最新のロボット技術によって作成されます。ロボットは設計通りのワイヤーを忠実に再現できるため、精度の高いワイヤーの作成が可能です。結果的に治療計画に沿った通りの歯の動きになり、治療そのものの効果も向上します。

このように、3Dデジタル矯正は、正確でより短い期間での治療を実現しています。

記事監修 深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

■略歴

  • 1988年3月 栃木県立真岡高等学校卒業
  • 1994年3月 北海道大学歯学部卒業
  • 1994年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科入局
  • 1998年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科医員
  • 1999年4月 赤坂まつの矯正歯科非常勤勤務
  • 2001年4月 ふかや矯正歯科開院
  • 2003年4月 船橋市立行田東小学校学校歯科医

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