矯正歯科コラム

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上顎前突(出っ歯)治療について

矯正歯科
上顎前突(出っ歯)治療について

上顎前突は、一般的には「出っ歯」と呼ばれている状態のことを指し、奥歯を噛み合わせた時に前歯が出て唇を閉じにくい、あるいは閉じられない状態を言います。今回は、その上顎前突について原因や有効な治療方法などをご紹介します。

◎上顎前突のおもな症状と原因
上顎前突は、上の前歯や上顎が下の歯列に比べて出過ぎている状態のことを指します。単純に歯だけが前突している場合と、顎の骨に問題がある場合があります。いずれにしても、見た目がよくないだけでなく、閉口しにくいことから口呼吸になる、感染症にかかりやすい、虫歯になりやすい、転倒した時に前歯の破折のリスクがあります。

代表的な原因としては、子どもの頃の指しゃぶりや爪噛みが挙げられますが、遺伝的に上顎が大きい、反対に下顎が小さいことが原因で上顎前突となることもあります。また、前歯を舌で押したり、舌を噛んだりする癖のある人も要注意です。前歯の内側から圧がかかることで歯が少しずつ移動してしまうため、気がついた時は意識的に止めるようにしましょう。

◎上顎前突の治療方法
上顎前突では、マルチブラケット装置を使ったワイヤー矯正が一般的です。多くの場合、前突した上の前歯を正しい位置に戻すためのスペース確保を目的に、矯正治療を始める前に抜歯を行ないます。抜歯した場合、まず半年~1年ほどかけて周辺の歯を後方へ牽引します。十分なスペースが確保されれば、さらに半年から1年ほどかけて前突した前歯を適切な位置に戻します。

必要に応じて奥歯の噛み合わせや歯並びの微調整が行なわれますが、上顎前突の治療期間は大体2年~3年半ほどと考えておくといいでしょう。一方、上顎前突の程度が軽度であれば、抜歯をせずに治療を開始できるケースもあります。デコボコの程度が少ない、奥歯の噛み合わせに問題がないといった場合は抜歯が必要ないと判断されることも珍しくなく、その際は治療期間が半年〜1年半程度に短縮され、費用も抑えられます。

上顎前突を引き起こす原因はいくつか考えられますが、正しい治療を行なうことで改善が可能です。見た目の問題だけでなく、さまざまなリスクを回避するためにも、上顎前突が気になる方は早めに歯科に相談しましょう。

記事監修 深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

■略歴

  • 1988年3月 栃木県立真岡高等学校卒業
  • 1994年3月 北海道大学歯学部卒業
  • 1994年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科入局
  • 1998年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科医員
  • 1999年4月 赤坂まつの矯正歯科非常勤勤務
  • 2001年4月 ふかや矯正歯科開院
  • 2003年4月 船橋市立行田東小学校学校歯科医

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