矯正歯科コラム
COLUMN叢生の治療について

歯がガタガタに生えている、いわゆる歯並びが悪い状態が「叢生(そうせい)」です。見た目の問題だけでなく、虫歯や歯周病になるリスクが高いため、歯科治療の対象とされています。本記事では、叢生の原因や治療について詳しく解説します。
◎叢生のおもな症状と原因
叢生とは、歯が重なり合ってデコボコに生えている状態のことを指し、乱杭歯(らんぐいば)と呼ばれることもあります。チャームポイントとされることもある「八重歯」も叢生の1つです。
叢生の原因としては、以下のようなものが挙げられます。
・顎が小さく歯が収まらない
・骨格遺伝
・永久歯が大きい
・乳歯の虫歯や乳歯の早期抜歯で永久歯の位置がずれる
・永久歯の位置がもともとずれている
・生え代わりの順番が前後している
このように複数ありますが、おもな原因は顎と歯の大きさのアンバランスに起因します。硬いものを噛む機会が減った現代人の顎は徐々に小さくなり、反対に栄養状態の良さから歯は健康で大きくなっています。今後はさらに叢生が増えると考えられています。
◎叢生の治療方法
叢生を治すためには、大きく分けて2つの方法があります。
マルチブラケット
矯正治療と聞いて、多くの人がイメージされるワイヤー矯正のことです。専用の接着剤でブラケットを取りつけ、溝に通したワイヤーから持続的な弱い圧力をかけることで歯を動かします。歯列矯正の中でも最も安定性のある治療法で、複雑な症例でもきれいな歯並びが手に入ります。金属性のブラケットとワイヤーであれば丈夫で安価ですが、どうしても見た目が気になるという方には、セラミックブラケットやホワイトワイヤー、あるいは裏側矯正などの選択肢もあります。
マウスピース矯正
自身の歯型模型や口腔内スキャナ―によって採取した歯型のデータから作製した透明のマウスピースを装着する方法で、ワイヤー矯正では難しかった「装置の取り外し」ができることが特徴です。周囲から気づかれにくく、食事や歯磨きの際は着脱できるというメリットがありますが、1日20時間以上の装着が必須とされています。装着時間が守れないと十分な効果が得られず、治療が長引く可能性があるため注意が必要です。
叢生の矯正方法として主流となっているマルチブラケットとマウスピース矯正ですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。費用面や審美性など総合的に考慮した上で、自分に合った矯正方法を選ぶことが大切です。
記事監修 深谷矯正歯科 院長 深谷哲郎

■略歴
- 1988年3月 栃木県立真岡高等学校卒業
- 1994年3月 北海道大学歯学部卒業
- 1994年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科入局
- 1998年4月 東京医科歯科大学歯学部第2矯正科医員
- 1999年4月 赤坂まつの矯正歯科非常勤勤務
- 2001年4月 ふかや矯正歯科開院
- 2003年4月 船橋市立行田東小学校学校歯科医
■所属学会